翻訳のヒント[バックナンバー]

2021年5月 翻訳のヒント(和訳) - “~ing” の和訳

 今日はどちらかというと機械系の単語のお話です。機械分野では、gear と gearing、tube と tubing、valve と valving、wire と wiring のように、類似の語が同じ明細書の中に出てくる場合がありますが、前者と後者を同義語として考えていいのか、異なる意味で使っていると考えるべきなのか、悩む場合があります。

 そういう時、あまり考えずに tubing は チュービング、wiring はワイヤリングなどとカタカナ書きにしてしまっていませんか?

 異なる意味で使用している場合、例えば gear は単体のギヤを指し、gearing は集合体ないしギア・システム (a system of gears) を指していると考えると原著者の意図が明確になることがあります。その場合は「~系」と訳せます

(例) gear = 歯車 gearing = 歯車系
tube, pipe = 管 tubing, piping = 管系
wiring = 配線 wiring = 配線系
shaft = 配線 shafting = 軸系

 また、~ing の形の単語は更に、「~作業」、「~加工法」、「~材料」と訳すとしっくりくる場合もあります。

(例) gearing = 歯車取付け作業
shafting = 軸材料
piping = 配管作業

 なお、ジーニアス英和大辞典の “-ing” (接尾)の項2. には「(動詞に付いて)動作の結果、材料、産物;その集合の意の動名詞、名詞を作る」、とあり、例として、clothing, building, flooring が挙げられています。

 また、さらに同辞書には、“-ing” (接尾)は、名詞に付いて「~で用いられる」、「~から成る」、「~にかかわる」などの意の名詞を作る、とあり、例として tubing が挙げられています。

 “ing” が付くことによってニュアンスが変わりますので、発明内容をよく理解して、適切な訳語を選択したいものです。



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