翻訳のヒント[バックナンバー]

2020年9月 翻訳のヒント(発音) - “u”で始まる英単語について

 去る8月28日、安倍首相は記者会見でご自身の「潰瘍性大腸炎」に言及し、任期半ばでの辞任を表明しました。

 潰瘍性大腸炎の英名は ulcerative colitis で、ulcerativeulcer(潰瘍)の形容詞形です。発音はウルセラティブやウルサーではなく、ʌ(軽い「ア」の発音)ですのでアルセラティブアルサーとなります。

 このように u で始まる英単語の中には、カタカナ語が頭にしみ込んでしまっているために、正しい発音が認識できていないものがありますので、この機会に u で始まる頻出英単語を発音の点から整理してみたいと思います。

1.ʌ のグループ:

 中学校でも出てくる単語には、up, under, uncle, umbrella などがありますが、技術用語では上に言及した ulcer のほか、umbilical cord(臍帯)、ultraviolet rays(紫外線)があります。特に、「紫外線」はウルトラバイオレットというカタカナ語が日本語の中に定着してしまっているので、注意が必要です。

2.ju または juː のグループ:

 日常語では unity, uniform, universal, usual, use などがありますが、技術用語では、urea(尿素)、urethane(ウレタン)、uranium(ウラニウム)などがあり、これらは "ユー" の発音になります。
 また、技術用語とは言えないかもしれませんが “unanimously”(満場一致で)も間違って発音されることが多い単語です。
正しくはユナニマスリィとなりますのでご注意ください。

3.その他:

 短母音の u や長母音の əː があり、前者の例としては ukiyoe, udo, Ulan Bator, Uzbekistan などの非英語圏から英語に入った単語や国名、都市名など、後者の例としては urge(急き立てる)、urchin(ウニ)、urban(都市の)などがあります。

 ぜひ一度、上の単語の発音を辞書で確認してみてください。



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