翻訳のヒント[バックナンバー]

2019年11月 翻訳のヒント(和訳) - someの訳は?

 “Some” の訳としては、「いくつかの、いくらかの」や「或る」などがすぐ頭に浮かぶと思いますが、次の文はどうでしょうか?

 Some 200 children participated in a variety of sports events.


 これを「或る200人の子供たちがさまざまなスポーツイベントに参加した。」と訳すのは問題です。

 上の文のように数詞の前に “some” が来ると、“about” と同義、つまり「ざっと」や「およそ」の意味になります。よって上の文は「ざっと200人の子供たちがさまざまなスポーツイベントに参加した。」と訳すべきです。

 同様に、“some 800 years ago” は「約800年前に」、“some 40,000 suppliers” は「およそ4万のサプライヤー」、などとなります。

 この用法は非常に多く見受けられるものですので、誤訳しないように気を付けましょう。

 さて、次はどうでしょうか?

 (1) There must be some defect in the circuit.

 (2) There must be some defects in the circuit.


 (1)と(2) の違いは some の後ろの名詞 defect が単数形か複数形かという点です。

 ここで注意すべきは、「some + 単数可算名詞 (上の例ではdefect)」と「some + 複数名詞 (上の例ではdefects)(または不可算名詞)」とでは some の意味が異なることです。以下、簡単に説明します。

 (1)は「この回路には何か欠陥があるに違いない」という意味で、「具体的にどういう欠陥かは調査しないとわからないが、例えば接触不良とか漏電とかの、何らかの欠陥があるに違いない」、という意味の文章です。

 これに対し、(2)は「この回路にはいくつかの欠陥があるに違いない」となり、some は「何らかの」でなく明確に個数を意識しています。

 また、「some +不可算名詞」の例としては、次の文が挙げられます。

 There must be some water in the casing.(ケーシングの中には水がいくらか入っているに違いない。)


 中学生でも知っている “some” ですが、なかなかどうして奥が深い単語です。一度辞書にあたって復習してみましょう。



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