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2018年7月 英文書簡10- 英文書簡のsalutationについて

 今回は、通常の英文書簡やe-mailを書く時の冒頭の挨拶の表現についてです。以前実際に遭遇して驚いたことがありましたのでご紹介します。

 これは冒頭の ”Dear Mr. ✕✕: ” の部分のことです。

敬称( title of courtesy ) には、通常、相手の性別等により Mr., Mrs., Miss, Ms. が使われ、特に女性に対しては、最近では未婚・既婚を区別しない言い方、即ち Ms. を使うようになってきていることはご承知の通りです。

今回は話を簡単にするために男性の方に宛てる手紙ということにいたします。その場合、はじめて連絡するときは、恐らくだれでも Dear Mr. Milne: とか、Dear Mr. Taylor, と始めるでしょう。

この場合、Milne や Taylor は姓、つまりファミリーネームですので Mr. を前につけることはマナーにかなった正しい表記です。

しかし、ここで一つうっかりしがちなことがあります。私たち日本人は、相手の方のお名前があまり一般的でない場合、どちらが「姓」(苗字、surname, family name, last name といいます)でどちらが「名」(個人名、first name, given name, personal nameといいます) なのか、判別できずにうっかり、ファーストネームの方にMr. を付けてしまうことがあることです。

また、どちらが姓でどちらが名なのかわかっていても、欧米では親しみを込めてファーストネームで呼び合うことが多いという知識から、確信犯的に、例えば Mr. Johnとか Mr. Bill と書いてしまい、何の疑いも持たないということが起こります。

しかし、これは大変失礼なこととされています。つまり、Mr.をファーストネーム(のみ)につけてはマナー違反です。

ファーストネームが John、ファミリーネームが Taylor である John Taylor さんに宛てる手紙の場合、次のようにしましょう。〇はOK、✕は間違いです。

 Dear Mr. Taylor:
 Dear Mr. John Taylor:
 Dear John: (少なくとも2回目以降で、first name-basis を相手も了承している堅苦しくない間柄の場合です。Mr. がないことに注意!
 Dear John Taylor: (日本人の感覚では呼び捨てのようですが、最近ではこのスタイルも見られるようになり、丁寧でありこそすれ失礼ではありません。)
 Dear Mr. John: ( John はこの例の場合 given name なのでマナー違反!


なお、この例においては Dear Mr. John: は✕ですが、もし John がファミリーネームだったら問題ありません。例えば野球の好きな方はトミー・ジョン手術という言葉を耳にしたことがあると思いますが、これは側副靭帯再建術という、肘の靭帯断裂に対する再建手術で、この術式を初めて受けたピッチャー Tommy John(= Thomas Edward John Jr. )にちなんでいます。この方の場合、John はファミリーネームですので正しい表記ということになります。

次にもう一つ、国際的には常識であるにもかかわらず、日本人がよく見逃している或いは気に留めてもいないがゆえにマナー違反になっていることがあります。

それは、博士号取得者の称号や社会的地位の高い役職を持つ人に対する呼びかけの表現についてです。

博士号取得者に対する挨拶文言には、Mr. でなく Dr.を使うべきです。よって、もし上の John Taylorさんが Dr. であったら、salutation は Dear Mr. Taylor:でなく Dear Dr. Taylor: と書くべきです。

同様に大学教授だったら、Dear Professor Taylor: 或いは Dear Prof. Taylor:とし、判事だったらDear Judge Taylorとなります。



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