2016年9月 翻訳のヒント (一般) - 英文法を復習しよう
今月は特許を離れ、一般英文法関連のものを取り上げてみたいと思います。学生時代の英文法で、下のような問題があったことを覚えていませんか?
問題: かっこの中から正しいものを選んで文を完結させなさい。 This problem is difficult ( ① to be solved. ② to solve. ) |
正解は②です。
しかし、私たちは次のように考えて①を選んでしまいがちです。
『主語は「この問題」(= this problem) である。
↓
「この問題」と「解く(= solve)」の関係は、「問題=解かれる」と考えるべきなので、“solve”は受身形としなくてはならない。
↓
よって、①が選択され“This problem is difficult to be solved.”となるはずだ。』
ところがこの文はネイティブスピーカーにとって非常に不自然に響きます。彼らは②のほう、つまり“This problem is difficult to solve.”を選ぶはずです。
この間違いは、日本人だけでなく、一般に非英語圏の外国人が英語を学ぶときに持つ疑問のようです。それはおそらく、「表面に現れている文構造に基づいて考えている」ことから来ているのではないかと思います。
難しい意味論(semantic approach)を持ち出すまでもなく、上の文では「難しい(=difficult)」と感じている主体は「ヒト」です(ここでは1人称単数の「私」で説明することとします)。
従って、上の文に“for me”を入れてみると下のようになり、より具体的に表現することができます。
“This problem is difficult for me to solve.”(=私にとっては難しい。)
さらにこの文は“it”を主語にして、
“It is difficult for me to solve this problem.”
と書き換えることもできます。
下に同様の例文を表形式でまとめましたので参考になさってください。
This word is difficult to pronounce. | This word is difficult to be pronounced. |
His logic is hard to follow. | His logic is hard to be followed. |
Our boss is hard to please.(気難しい) | Our boss is hard to be pleased. |
Your question is impossible to answer. | Your question is impossible to be answered. |
She is easy to deceive.(だまされ易い) | She is easy to be deceived. |
The horse is hard to control. | The horse is hard to be controlled. |
「×」の文はすべて仮主語を使った“It is difficult(for 人)+ to不定詞”の形にできますので、書き換えてみてください。
一旦社会に出てしまうと英文法も忘れがちですので、座右に1冊は置いて少しずつ復習することをお勧めします。
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