翻訳のヒント[バックナンバー]

2012年12月  英文書簡6(現在の事務所を退職する通知)

 今年も残すところわずかとなりました。振り返ってみますと、今年はまだ英文書簡について触れていませんでした。

 12月は、現在の事務所を離職し新しい事務所に移る方も比較的多くおいでになると思います。ご自分(弁理士)が現在の事務所を退職し、別の事務所で同様の仕事をする予定である、ということを、長年仕事を発注してくれたクライエント、アソシエートに知らせたいときに使える書簡例を下にあげますのでご参考になさってください。

 まず書き出しですが、日本式書簡によく見られる時候の挨拶は不要です。いきなり次のように始めます。

Dear Mr. Smith:
 This is to advise you that, effective next week, I am leaving this firm and joining another firm in Tokyo as set forth on the enclosed announcement card.

 ここでは、新事務所の住所や電話番号などについては別の通知ハガキを同封する、という前提としてあります。なお、新事務所があなたを新たに迎えたことを通知する挨拶状を英文で用意してくれたらそれを同封するのもいいのですが、通常、タイミングがずれますので、個人的にも親しくしていたアソシエートにはポストカードなどの略式で構わないので自分で用意なさるといいでしょう。

 次に理由を簡単に述べます。個人的な理由が主なものでしょうから、くどくど書くには及びません。

The reasons for my move relate solely to my personal situation.

 もちろん、いろいろな背景を書きたい場合には続けて記載します。また、これまで自分宛に頂いていた出願の仕事は今後は誰が担当するのか、自分は今後、旧事務所での残務にどの程度関与するのかも書くといいでしょう。

 そして最後に忘れてならないことは、これまでのご厚情に対する感謝の言葉です。

 I have always enjoyed working with you on the cases of your clients. I look forward to renewing our friendship some day in the future.

Very truly yours,

(Signature)

 但し、「今後何かあったらいつでもご相談ください」という意味の文言は、後々問題になりかねませんので控えるべきです。

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