2011年9月 翻訳のヒント(和訳) 前置詞は訳し過ぎてはダメ
特許明細書の英訳の機会の多い翻訳者の方であれば、英訳の際に構成部材の位置関係を正確に表現する等の目的で注意深く英語の前置詞を選ぶことが多いと思います。 しかし、和訳の場合、英語の前置詞を必要以上に無理に訳出すると不自然な日本文となることがあります。 実例(簡略化してあります)を挙げてみましょう。1.The probe was pressed against the wall of the cylinder.
(訳例1)シリンダの壁に対してプローブを押し付けた。
(訳例2)シリンダの壁にプローブを押し付けた。
2.An electrode was placed on the light-emitting surface.
(訳例1)電極を発光面の上に設置した。
(訳例2)電極を発光面に設置した。
3.The mixture was fed into the reactor.
(訳例1)その混合物を反応器の中に供給した。
(訳例2)その混合物を反応器に供給した。
4.the key to the door
(訳例1)ドアに対する鍵
(訳例2)ドアの鍵
5.a lizard on the ceiling
(訳例1)天井の上のトカゲ
(訳例2)天井のトカゲ
上の訳例1ではいずれも太字の部分が訳文を読みにくくしています。 翻訳者の心理として、つい原文を漏れなく訳そうとしてこのような訳となってしまうのです。英語と日本語の違いを再認識し、英訳と和訳でそれぞれ適切な訳を心がけましょう。