2011年11月 翻訳のヒント（英訳）　前置詞ステップアップ

　特許翻訳では一般の翻訳より厳密さが要求される場合があり、普段あまり気にせずに使っているonやinなどの前置詞も更に厳密な前置詞に置き換えると良いことがあります。実例を挙げてみましょう。

1.on vs. atop

電子部品など積層型の構造体を製造する過程では、ある層構造に別な層構造や部品を積層することがあります。「基板上の導電層の表面に絶縁層を積層する」というケースを想定しましょう。

導電層が十分薄く二次元の面とみなせれば上の訳でもいいのですが、導電層にある程度の厚みがあり、上面だけでなく端面も存在する場合において「（端面でなく）上面に積層する」ことをはっきりさせたい場合には、

のようにatopという前置詞を使います。atopには「～の頂上に」という意味が含まれるので、上面という関係を表現できます。もし、onを使うなら

とすれば同様の訳となります。いずれも端面が排除された意味を出せます。

2.in vs. within

数値範囲、例えば「10℃～100℃の範囲」を限定する場合、

という訳では10℃～100℃の範囲の中であることはわかりますが、10℃と100℃という両端の温度も含んだ全範囲であることを明確にしたい場合にはwithinを使います。

尚、「～の範囲にある」を英訳する場合、

のようにbe動詞でなくfallを使って表現しましょう。

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